9/15 月

大阪で行われていたセルフ祭。AAFの繋がりで参加&検証に行かせて頂きました。

開催場所は大阪のシンボルである通天閣のすぐそば。最寄りは動物園前、新今宮と大阪でもかなりのDEEPゾーンとして知られる「新世界市場」。現在商店街の半数の店が閉まり、シャッター街になりつつあるこの市場を盛り上げるのがこのお祭りの大きな目的である。とにかく奇抜という言葉が1番しっくりくるこのお祭りは、「セルフ祭」という名前の通り「誰でも参加オッケー」をコンセプトに掲げ、今回市場の100周年記念も兼ね全国からアーティストやパフォーマー、通りすがりの観光客、近所のおじちゃんおばちゃんが100人以上集まる。何をするのも自由、参加する、しないも自由、お金をだすかどうかも自由。仮装したパフォーマンス、コント、ライブ、フード、作品の展示などが所狭しと並び、商店街に施され手作りの装飾と共に異空間を演出する。
 まず現地について自分を迎えてくれたのは10mはあるだろう巨大な手のオブジェと金箔の仮装をしたスタッフ(?)と革ジャンを着たロカビリー集団のダンス、何mあるんだこのふんどしのテープカットは、等など。そう、全くまとまりがない。商店街は端から端まで歩いて2、3分の広さだがこの商店街は本当にシャッター街になりつつあるのか?と思わせるくらいの人で会場は賑わっていました。変な仮装(何の仮装かわからない)をしている人があちこち。あっちでは商店街に畳を引いて寝てる人、浴槽があって中におじさんが入っていたり、こっちではライブをしていたり、包丁研ぎをしている外国人の方がいたり、セクシーお姉ちゃんがサンバが踊っていたり、参加者の個性がとにかく強い。この会場の奇抜感は文章で伝えるのはとても難しいので、実際に見る事を勧めます。カルチャーショックです。
 商店街とお祭りの関係は話を聞くに普段から持ちつ持たれつつという感じで「いつも商店街のこと手伝ってもらってるから、このお祭りも手伝おう」という暖かい雰囲気でした。新世界100周年とかけて100円セールをやっていたり、お店を手作りで派手に装飾したりと、お祭とのに一体感を感じました。
 前もってセルフ祭スタッフに佐藤さんも何かやって下さいと言われていたので、絵を描こうと思い自分も空いている場所にブースを作り祭に参加。参加者として腰を降ろすと、また視点が変わって面白い。出店者同士の交流。一般のお客さんとの交流を楽しみ「作品を作ってるけど出す場所がない」「セルフ祭だったら出せるかな」と年に1回のセルフ祭のために作って出展しているという方も多かった。しっかりと商売として参加している人もいて「このイベントは集客があって売り上げでるから嬉しい」という人など、いろんな人がいました。そんな中、中学生の息子と父親がバンドを組んで参加しており、(ここに至るまで色んな事があったのだろう)それをみたスタッフは「こういう事があると嬉しくて頑張れる」と涙目になって見守っていました。出演者1人1人にこのお祭をきっかけに始まった物語、表現があり、このお祭りから多くの事がはじまっている事を言葉で聞かなくても感じる事が出来ました。
 どこを見ていいのか迷う程、ステージの催し物は次から次へと開催。(ステージも2種類あったのかな、しっかりスケジュールが決まっている所と誰でも参加できるコントステージ)ずっと祭りのピークが続いている様な熱気で満ち溢れていた。そん中、自分は誰が参加してもいい「素人だらけのラップ選手権」に参加。ジャッジはオーディエンスによる拍手の数。「どんだけ笑えるか」というのが自然と基準になっている事が他県から来た人間にはカルチャーショック。自分は高校生相手に惜しくも初戦敗退となってしまいました。優勝はただの酔っぱらいが持っていき(これもオーディエンスジャッジの面白い所ですね)、美女に囲まれて記念撮影されておりとても幸せそうでした。他にも急にステージに立たされ、「何かやって」と恐怖さえ感じる事もあったけれど、アーティストではなく素人だから出来る面白さを楽しみしている視線は、緊張感と暖かさと恐いもの見たさが混じった不思議な空気感。これも是非、実際に体感して頂きたい。
 3日間のお祭りの中で途中スタッフミーティングに参加させてもらいました。広報に関しては開催の1ヶ月前にチラシを1000部程作った程度、あとはSNSの告知のみというから驚きです。口コミでどんどん広がっており、今年は特に県外から遊びに来ましたという方が多かったらしい。この賑わいを見てもイベントとしては大成功ですよね?と訪ねると「あ、そいう観点はなかった。」と。それよりも「あのステージすべってたよな」とか「もっとこうしたら面白いんちゃうん。」といった議論が多かった。この笑いに関する貪欲な姿勢を見る度にあ、そうかここは大阪だったと感じました。
 各々の価値観の「祭」が混ざり合い大阪の中でもさらに異質さを出しているセルフ祭。「祭についてそれぞれの解釈があって、しかもそこにセルフを付けてしまったから運営側も大変です。まとまりにくい(笑)。運営スタッフの人間が表現者として祭に参加していく事も多く、嬉しいんだけど手を焼いている」と笑いながら答えてくれました。
 現時点でお祭の中で「素人だらけのラップ選手権」の様なイベントが数多く継続して開催されており、今後セルフ祭をきっかけにアーティストが生まれたり、新しい形のお祭が生まれたりする可能性をたくさん感じました。それは今まで見た事のないような笑いのテイストが入った楽しいイベントなんだろうなと創造性を掻き立てられ今後の展開がとても楽しみです。
 またセルフ祭の他にもこのシャッター商店街となりつつある新世界市場を元気づけようと、電通若手クリエイター39名がボランティアでポスターを作り「新世界市場ポスター展」を開催したりと、この街を活性化させようとする動きが増えつつあるようです。このポスター展の効果も来客を普段の2倍にのばした様です。この街を思い行動する地域の方々のパワーに圧倒された濃い3日間でした。